海外FXで利益が出た場合は日本国に税金を納める必要があり、国内FXとは違った税区分となります。
ここでは海外FXの税金の種類や税率、税金計算方法について解説していきます。
海外FXの年間利益が20万円を超える場合は確定申告が必要になるので、事前にしっかりと準備をしておきましょう。
- 海外FXの税金の種類や特徴が分かる
- 海外FXの税率が分かる
↓海外FXの税率や税金対策について動画で詳しく紹介してるので参考にしてください。
海外FXの税金は雑所得の総合課税
海外FXの税金は「雑所得の総合課税」となり、1月1日~12月31日までの間に一定の利益が出た場合、翌年の2月16日~3月15日に日本国に税金を納めることになります。
国内FXとは違った税区分となり、海外FXの税金は全体的に高めの所得税5%~45%の累進課税となります。
国内FXとは違い、税金面で海外FXは優遇されていないので、税率が高くなっています。
海外FXと国内FXの税金を比較
海外FX | 国内FX | |
---|---|---|
税率の区分 | 雑所得(総合課税) | 雑所得(先物取引に係る雑所得) |
課税方法 | 総合課税 | 申告分離課税 |
所得税 | 5%~45% | 15% |
住民税 | 10% | 5% |
損失繰越 | できない | 3年間できる |
損益通算 | 雑所得(総合課税)の範囲内で可 | 先物取引に係る雑所得の範囲で可 |
海外FXの税金は国内FXの税金と同じ「雑所得」の税区分となりますが、国内FXは「先物取引に係る雑所得」という特例に位置しており、海外FXとは区分が違ってきます。
税区分が違うので、国内FXと海外FXは税率が違い、別々に計算をする必要があります。
海外FXは雑所得の中でも「総合課税」の分類になり、所得税が5%~45%の累進課税、住民税は10%となります。
海外FXは利益が出た場合のみ確定申告が必要
海外FXでは一定の利益が出た場合のみ確定申告が必要となり、利益が出ていない場合は確定申告が不要になります。
もし確定申告で年間10万円の損失が出た場合、確定申告をする必要はありません。
後述しますが、海外FXでは損失繰越と言う「損失を翌年以降に繰り越す」ということができないので、損失が出た場合は確定申告は不要になります。
サラリーマンは20万円から、個人事業主は48万円から確定申告が必要
サラリーマンやアルバイト、パートの人など給与所得者は、海外FXの年間利益が20万円を超える場合に確定申告が必要となります。
年間の利益が19万円であれば、確定申告をする必要はありません。
個人事業主(主婦の方など)の場合は年間利益48万円までは確定申告が不要になります。
48万円は基礎控除の額となり、48万円の利益が出ても、基礎控除によって税務上、利益が出ていないことになります。
年間利益が20万円を超えても経費を引いて20万円以下になれば確定申告不要
海外FXのトレード利益が20万円を超えていても、経費を引いて20万円以下になれば、確定申告は不要になります。
もし12月に入って「今年は利益20万円を超えそうだ」という時は、経費(VPSの代金やパソコン購入費、通信費など)を使って利益を20万円以下にできれば、確定申告は必要ありません。
海外FXの利益から経費を引いた「課税所得」が20万円を超えた場合に、確定申告が必要ですので覚えておきましょう。
海外FXの税率は所得税5%~45%の累進課税
海外FXは「雑所得の累進課税」になるため、稼げば稼ぐほど税率が高くなります。
サラリーマンやパート、アルバイトなど、海外FX以外の収入がある人は「その収入に上乗せして」税金の計算をする必要があります。
所得金額と所得税率
所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超~ | 45% | 4,796,000円 |
参照:国税庁 所得税の税率、東京都主税局 個人住民税
所得税(5%~45%)・住民税(10%)の合算 別途、所得金額に対して復興特別所得税(2.1%)がかかります
コチラの表は課税所得に対する所得税率となります。
所得税が5%~45%、住民税が10%となります。
300万円 + 30万円 = 330万円(課税所得)
330万円 × 10% – 97,500 = 232,500円(給料の税金も含めた所得税)
300万円 × 10% – 97,500 = 202,500円(会社から自動的に引かれる所得税)
232,500 – 202,500 = 30,000円(海外FXの利益にかかる所得税)
300万円 + 30万円 = 330万円(課税所得)
330万円 × 10% + 5,000(均等割) = 335,000円(給料の税金も含めた住民税)
300万円 × 10% + 5,000 = 305,000円(会社から自動的に引かれる住民税)
335,000 – 305,000 = 30,000円(海外FXの利益にかかる住民税)
このような計算方法となります。
所得税の「控除額」と呼ばれるものは、所得税計算を簡単にするための計算上の控除額となります。
住民税の均等割はお住まいの地域によって、多少の違いがあります。
住宅借入金等特別控除などの「税額控除」と呼ばれるものは、税金に対して控除があるので、ここからさらに税金が引かれることになりますが、説明すると長くなるので割愛します。
所得が少ない時は住民税が高くなりますが、所得が多くなると所得税が大きくなるので、税金対策が必要となります。
国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば自動で税金計算をしてくれる
海外FXの税金計算方法は別ページで詳しく紹介していますが、国税庁の確定申告書等作成コーナーを使って申告書を作ると、税金計算を自動でやってくれるのでおすすめです。
e-Taxを利用することもできますし、作成した確定申告書類を印刷して、郵送することも可能です。
手書きで確定申告をすると、手計算になってしまうので、ぜひ利用すると良いでしょう。
確定申告については、別ページで詳しく紹介しているので参考にしてください。
・海外FXの確定申告とは?確定申告書の書き方と必要書類・税金計算
税金計算ツールで簡単に税金のシミュレーションが可能
税金をざっくり計算したい場合、当サイトの税金計算ツールを使えば、ざっくりとした税金計算が可能です。
確定申告時はしっかりとした計算が必要になりますが、大まかな税金を知りたい時は参考にしてください。
海外FXの税金計算の流れ
- STEP.1利益の計算取引プラットフォームから年間取引報告書をダウンロードして売上を出す
- STEP.2経費を引く海外FXにかかる経費(入金・出金手数料、勉強の本・セミナー代、インジケーター・EAの料金など)を引く
- STEP.3控除を引く控除を引く(サラリーマンで年末調整をしている人は不要)
- STEP.4所得税の計算課税所得から所得税を計算
- STEP.5税額控除を引く所得税から税額控除を引く
※確定申告では所得税の申告のみとなり、確定申告すると住民税が都道府県で計算されて請求が来る仕組みなので計算は不要です。
利益の計算はMT4から年間取引報告書をダウンロード
海外FXの利益の計算は、MT4の年間取引報告書をダウンロードすることで自動的に計算された報告書が出てきます。
MT4の年間取引報告書のダウンロード方法を紹介します。
MT4 → ターミナルウィンドウ → 口座履歴
MT4を開いて、「ターミナルウィンドウ」から「口座履歴」をクリックしましょう。
ターミナルウィンドウ右クリック → 期間のカスタム設定
ターミナルウィンドウ内で「右クリック」して「期間のカスタム設定」をクリックします。
期間を1月1日~12月31日設定
期間を「1月1日~12月31日」で設定してOKをクリックしましょう。
ターミナルウィンドウ内で右クリック → レポートの保存
ターミナルウィンドウ内で「右クリック」して「レポートの保存」をクリックします。
印刷してデータを保存
年間取引報告書が発行されるので、印刷してデータで保存しましょう。
クローズトレードP/Lが確定損益
1年のトレード損益はクローズドトレードP/L(Closed Trade P/L)で表示されています。
これが年間の「確定損益」となります。
これを元に確定申告に使います。
損失額は自己資金の範囲までとなるので、手計算をし直すかMT4年間取引報告書をボーナス抜きで計算するツールなどを使って損益計算をしてください。
口座ごとにダウンロードする必要があるため、複数口座でトレードしている人や、複数業者でトレードしている人は1つずつ準備する必要があります。
利益から経費を引く
MT4の年間取引報告書から利益額をダウンロードしたら、次は経費を引いていきます。
経費になるものはレシートや請求書などの記録が必要になるので、レシートなどは必ず保管しておきましょう。
・パソコン・スマホ購入費(目安:購入費の10%~20%)
・パソコン・スマホ通信費(目安:通信費の10%~20%)
・EA購入費やVPSの月額費用(目安:購入費の100%)
・海外FXのための本や勉強会、セミナー費用(目安:費用の100%)
・勉強会、セミナーの交通費(目安:交通費の100%)
・電気代(目安:電気代の5%~10%)
・家賃(目安:購入費の5%~15%)
・外食費(目安:外食費の100% 金額や状況による)
・消耗品費(目安:購入費の100% 購入するものにより按分)
・お中元・お歳暮(目安:購入費の100%)
サラリーマンなど兼業トレーダーの場合、経費は全てが100%計上できる訳ではなく、海外FXに費やした割合(按分)によって違います。
パソコンやスマホの購入費や通信費はプライベートでも利用できるため、購入費や通信費の10%~20%ほどが計上可能です。
自動売買EAの購入費やVPSの月額費用などは海外FXトレードでしか利用できないので、100%計上できます。
家賃や電気代なども部分的に経費計上できるので、それなりに計算をするとかなりの金額になると思います。
打合せや会食で利用した外食費も5,000円程度までは会議費として100%計上することが可能で、それ以上は接待交際費として50%の計上が目安になります。
これらの外食費も合わせると、年間でかなりの金額になると思います。
経費はしっかりと計上して、税務上の課税所得を減らすように努力しましょう。
所得控除金額を引く
続いて所得控除になるものを所得から引いていきます。
所得控除とは、所得税の額を算出する際、所得から一定の金額を差し引くことです。
サラリーマンなどの給与所得者は会社から年末調整として生命保険料控除などを提出していると思いますが、提出していないものや、個人の方は確定申告で控除します。
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・配偶者控除
・扶養控除
・基礎控除
・寄付金控除(ふるさと納税など)
参照①:所得金額から差し引かれる金額(所得控除) 国税庁
参照②:個人住民税 東京主税局
基本的には会社で全て計算して源泉所得税が出てきますが、ふるさと納税など会社に提出していない控除は、確定申告で還付を受けるようにしましょう。
所得税の計算をする
利益から経費、所得控除を引いたものが「課税所得」と言われ、税金計算の元になる金額になります。
ここから源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」と「海外FXの利益-経費-控除」をした金額を合計して、所得税率をかけて計算をします。
所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円超~330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円超~695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円超~900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円超~ | 45% | 4,796,000円 |
300万円 + 30万円 = 330万円(課税所得)
330万円 × 10% – 97,500 = 232,500円(給料の税金も含めた所得税)
300万円 × 10% – 97,500 = 202,500円(会社から自動的に引かれる所得税)
232,500 – 202,500 = 30,000円(海外FXの利益にかかる所得税)
このように、「給与所得控除後の金額」と「海外FXの利益-経費-控除」の金額を合計したものから所得税を計算します。
「控除額」は計算上利用する控除金額となります。
これで所得税の計算が完了になりますが、税額控除がある場合は、そこから所得税を引くことができます。
税額控除を引く
最後に「税額控除」と呼ばれる、所得税から税額を引くことができる控除を計算します。
基本的には住宅ローンを借りた時の「住宅借入金等特別控除」のみになる人が多いです。
住宅ローンを借りている時は税額控除を記入して税金から引きましょう。
これで税金の計算方法の流れは完了です。
海外FXの税金に関する注意点
海外FXの税金に関する注意点です。
海外FXの税金は国内FXと損益通算できない
海外FXは国内FXとの損益通算はできません。
海外FXで利益が出て、国内FXで損失が出ていたとしても、海外FXの利益は相殺されず確定申告が必要になります。
海外FXと国内FXは税制面では相容れない関係なので、注意しましょう。
他の雑所得(総合課税)とは損益通算が可能
国内FXとの損益通算はできませんが、仮想通貨やアフィリエイトなどの雑所得(総合課税)と損益通算は可能となっています。
海外FX200万円 - 仮想通貨100万円 = 100万円 となります。
海外FXとの収益と損益通算できる収入には、次のようなものがあります。
- 他社の海外FX口座
- 原稿料・講演料・印税
- アフィリエイトの収益
- ネットオークションの売り上げ
ただし、海外FXは前年度の損失を繰り越して計上できないので気をつけてください。
海外FXの税金でよくある質問
海外FXの税金に関するよくある質問です。ぜひ参考にしてください。
[faq]
[faq_item question=”海外FXの税金はいくらから申告が必要ですか?” answer=”年間利益20万円を超えたら確定申告が必要になります。”][/faq_item]
[faq_item question=”海外FXの税金は20万円以下でも申告が必要ですか?” answer=”いいえ、必要ありません。ただ、1円以上の利益が出た場合、市町村役場に住民税の申告は必要になります。”][/faq_item]
[faq_item question=”海外FXの税金が会社にばれないようにするにはどうすれば良いですか?” answer=”確定申告書B(第二表)の右下にある「自分で納付」にマルを付けてください。”][/faq_item]
[faq_item question=”海外FXの税金で抜け道はありますか?” answer=”今は非常に難しいと思います。国際的な租税回避を防止するためにCRS制度があり、海外の銀行に出金したとしても税務署に気づかれる可能性があります。”][/faq_item]
[faq_item question=”海外FXの税金が税務署にばれないようにすることはできますか?” answer=”海外に移住する以外は非常に難しいと思います。”][/faq_item]
[/faq]
海外FXの税金まとめ
海外FXの税金は国内FXと比べて高く、不利になりがちです。
利益がたくさん出そうな年は、早めに税金対策を取って経費を計上するようにしましょう。
別ページでは私がサラリーマンの時の源泉徴収を元に、税金の計算方法を紹介して行きます。
税金の計算方法が分からない人は、ぜひ参考にしてください。
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